○ いよいよ決勝戦

 【私的な分析と想い】

第88回 選手権大会 鹿児島県予選も いよいよ決勝戦を迎える。
シード校が相次いで敗れる中,決勝に残ったのは,
ノーシードから勝ち上がった鹿屋と第3シードの鹿児島工であった。
どちらが勝っても甲子園初出場になる顔ぶれだ。
夏は久しぶりの初出場校の誕生,そして26年前の川内実(現れいめい)以来の鹿児島市3強以外の出場になる。

鹿屋は,ノーシードながら投打のかみあいと試合運びのうまさが光る。
投では,体格は小柄ながら切れのある投球と制球力で篠原投手が輝いている。
内外角低めに糸を引くような直球が投げ込まれ,ゆるいカーブと早いスライダーを織り交ぜ,
三振も取れる投球をしている。切れのある球で直球の見逃しや空振りの三振も取れている。
打では,3人の左打者が並ぶ主軸を中心に巧打が光り,つながりを見せる。
今大会はとくに安打を多く量産しており,打線全般がむらなく当たり,どこからでもチャンスをつくれそうである。
ただ,実は今までシード校との対戦がなく,同じ実績具合の相手との対戦が多く,決勝で初めてシード校と対戦する。
また,篠原投手はほぼ一人で6試合投げ抜いてきており,疲労も気になる。

鹿児島工は,第3シードながら,この3年生世代の1年生大会では優勝しており,
今シーズンの実績も,決勝進出こそ無いにしても安定している。
また,昨年度は秋・春ともに九州大会に出場し,秋は1勝。春は4強まで進んでいる。
その時の正選手がバッテリーをはじめ,多く残っており,経験も豊かである。
投では,2枚看板の右腕榎下投手と左腕下茂投手が昨年度から残り,継投を中心に投げている。
榎下投手は直球を中心にゆるいカーブを見せながら三振もとる投球ができる。
下茂投手は,左腕から直球と変化球の配球がよく,大崩れしない感じがする。
両投手とも今大会は安打も打たれ失点もあるが,継投で負担を軽減し要所を締めた投球をしている。
打線は,活発で得点力の高さも感じる。犠打も意外と多いが,エンドランなどの積極策も多用している。
4番の鮫島選手は攻守の要であり,大型で長打力もある。
5番の今吉健選手は準決勝で本塁打を放ち,6番の内村選手は1年生ながら今大会当たっている。
チームとしても,前半は圧勝,準々決勝,準決勝では,接戦をものにする粘り強さもみられた。
ただ,これまで戦力や前評判がよかったわりに今年度は結果を出せていないのが,気になるところである。

決勝の大舞台では,実績と経験の分だけ鹿児島工が有利と思えるが,鹿屋には投手力と勢いを感じる。
久しぶりに鹿児島市以外の学校の出場,大隈からの初出場を見てみたいと個人的にはおもうが,
甲子園で力を発揮でき,勝てることを願うと,実績と自力のある鹿児島工の出場がよいのかもとも思う。
過去2年,逆転での大熱戦の決勝戦が行われており,今年の決勝もどうなるのか分からない。
どちらが勝っても,私にとってはうれしい結果であることには間違いない。

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